In Daily Life

SNSに疲れたとき

明観静慮
読了 約6分
Scene

ある夜の、あなたに

灯りを消したあとの布団の中で、今夜も画面だけが光っています。
あと五分のつもりが、気づけば三十分。
指は勝手に動き、知らない誰かの旅行、誰かの手料理、誰かの怒りが流れていきます。
楽しかったかと聞かれると、よく分かりません。
ただ目は冴え、心はざらつき、今日の自分がどんな一日だったかより、他人の一日の断片ばかりが頭に残っている。
閉じた画面は黒い鏡になって、疲れたあなたの顔を映し返してきます。

この三十分に覚えがあるなら、このページはあなたのために書かれています。

Symptom

その心もちを、ことばに

気づけば開いていて、閉じたあとに残るのは、なぜか疲れと焦り。
楽しむために見ていたはずが、いつのまにか比べさせられ、急かされ、心が削られている。
それでも、手放せない。
やめられない自分に、また少し失望する。

明鏡学の見立てでは、疲れの正体は二つあります。
一つは、一日に何百回も他人を映し込まれることで、自分を映すはずの鏡が他人で埋まること。
もう一つは、流れの速さに心の速さまで同調してしまうことです。
他人の鏡と、他人の速度。
この二つが、あなたを静かに消耗させます。

とくに疲れが残りやすいのは、何も投稿せず、ただ眺めて流すだけの時間だと言われています。
受け取るばかりで、自分の側から映すものがない。
鏡にたとえるなら、他人の像を延々と浴びながら、自分の像は一枚も映していない状態です。
消耗して当然の収支ではないでしょうか。

なお、流れ全体ではなく特定の誰かの姿だけが胸に刺さるなら、それは似て非なる悩みで、人と比べてしまうときのページのほうが近いかもしれません。

Why

なぜ、やめられないのか

意志が弱いからではありません。
SNSは、開くたびに違うものが出てくる仕組みでできています。
面白いものが出るときもあれば、何もないときもある。
当たりが不定期に混ざるくじに似たこの形は、「次こそ何かあるかもしれない」と、次も開きたくなるように心に働くと言われています。

つまり、開いてしまうのは設計への自然な反応であって、あなたの欠点ではない、と考えられます。
だからこそ、気合いで断ち切るのではなく、仕組みに対しては仕組みで、つまり距離の設計で応じるのが理にかないます。

「焦りや不安の中に、本当の選択はありません。」

Detour

「アプリを消せばいい」が空振りするわけ

思い切って削除した夜は、静かです。
けれど数日後、手持ち無沙汰の帰り道や眠れない夜に、多くの人が再インストールします。
そして「結局戻ってしまった」という失望が、疲れの上に重なる。

ゼロか百かの断ち方は、反動を招きやすいのです。
仕組みが強いのに、出口を一つしか用意していないからです。
明鏡学が勧めるのは、一段ずつ距離を広げること。
通知、置き場所、時間帯の順に、少しずつ遠ざけます。
一段目だけで楽になったなら、そこがあなたに合う距離かもしれません。
全段を急ぐ必要はありません。

Which Mirror

どの鏡の、曇りか

明鏡学では、心を三枚の鏡として見立てます(三鏡について)。
SNS疲れの中心は、流れてくる出来事に反応しきろうとして、心がすり減った状態です。
加えて、流れの速さに合わせて心の水面が波立ち続けている。
そこで、天鏡の原則・明観で「全部には対処しない」と観て受け流し、同じ天鏡の静慮で波を鎮めます。
二枚の原則を重ねて使うのは、疲れの出どころが二つあるからです。

自鏡 ・ じきょう
Principles

使う原則

明観Meikan

流れてくる出来事を、すべて追いかけて対処しようとせず、観て受け流す原則です。
「どうにもならないものは、そういうものとして受け流します。」全部に反応しないと決めて画面を閉じると、削られていた心が自分の速さへ戻りやすくなります。
SNS疲れの土台に当てる一枚です。

明観を読む →
静慮Seiryo

流れてくる速さに、心の速さを合わせない原則です。
「静けさの中でだけ、本当の選択があります。」開くか閉じるかの判断さえ、波立った水面の上では流されがちです。
ひと呼吸ぶんの静けさを挟むことで、指の反射ではなく自分の選択で画面と付き合いやすくなります。

静慮を読む →
Today

今日の一手

三つで一組の、段階的な距離の設計です。
一段目から順にどうぞ。

  1. 今夜、寝る前に五分、SNSの通知をすべて切る布団に入る前、設定画面を開いて通知を止めます。
    呼ばれて開くのをやめ、開くかどうかを自分の側に取り戻す第一段です。
    できなかった日は、音と振動だけ消すのでもかまいません。
  2. 明日の朝、三分、アプリをホーム画面の一枚目から移す二枚目以降のフォルダの奥へ。
    指が覚えた場所から外すと、無意識に開く回数が減りやすくなります。
    できなかった日は、位置を一マスずらすだけでも一歩です。
  3. 今週のうちに、見る時間帯を一つに決めるたとえば「夜九時まで、布団では開かない」。
    第三段の仕上げです。
    守れなかった夜は、責める代わりに、開いた時刻を記銘帳に一行だけ書き留めます。
    それも観察という立派な行です。
One Week

一週間の、型

一日目に通知、三日目に置き場所、五日目に時間帯。
三段の距離を、一週間かけて一段ずつ広げます。
毎晩、開いた回数ではなく「今日は何段目まで守れたか」だけを記銘帳に一行。
七日目の夜、最初の夜より画面の外の時間が増えていれば、それで十分な進みです。
途中で一段戻る夜があっても、設計を続けている限り、距離づくりは前へ進んでいます。
学徒登録(無料)をすると、この三段に沿った「今日の磨き」が毎朝一つ届きます。

Q&A

問いと、答え

SNSは、完全にやめるべきですか。

明鏡学は、断つことより距離の設計を勧めます。
遠くの友人との縁や仕事の窓口など、SNSにしかない良さもあるからです。
問題は道具そのものではなく、鏡が他人で埋まる時間の長さです。
通知、置き場所、時間帯の三段で、自分に合う距離を探してみてください。

見ないでいると、取り残される気がします。

その焦りこそ、流れの速さに心の速さが同調している徴です。
静慮は「焦りや不安の中に、本当の選択はありません。」と教えます。
一晩見なくても消えない知らせは、たいてい翌朝も残っています。
まず一晩、静けさの側から確かめてみてください。

Founder's Words

始祖の言葉

「他人の鏡には、その人の曇りが混ざっている。
借りて覗くものではない。」
― 石川詩音
Guardian Stone

心の灯として

石が悩みを解くわけではありません。
磨いた鏡は持ち歩けなくても、石なら携えられます。
明鏡石は、あなたの代わりに袖の中で世界を映す、携える鏡。
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今夜、記銘帳に一行だけ。

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